どんなムードトラッカーでも、中心にある役割は、その日の幸福度を見つめ、そこから次の行動につなげることです。そのためには、自分が今どこにいて、そして何より、どこへ向かいたいのかを見きわめる仕組みが必要になります。
このシリーズでは、ムードトラッカーに残したデータをどう読み解けば、幸福度を高め、人生の見え方を変えていけるのかをお話ししています。今回は「瞬間」、つまり記憶という考え方と、それが自分の幸せについて何を教えてくれるのかを見ていきます。
ものさしを決める
ムードトラッカーでいちばん大切なのは、幸福度を測るためのものさしです。自分にしっくりくるものなら、どんな仕組みでもかまいません。よく使われるのは、スマイリーの絵、1〜10の評価、色、あるいは植物などです。たとえば、よくない一日は種、すばらしい一日は満開のひまわり、というふうに。大事なのは、自分の感覚に響くものを選ぶことです。
この記事のここから先は、例として1〜10のものさしを使います。1がいちばんつらい一日、10がいちばんすばらしい一日です。
アンカリング
幸福度のものさしを正確に保つには、一貫性が欠かせません。アンカリングは理学療法から来た手法で、特定の数字に、特定の感じ方を結びつけておくというものです。気分のものさしにアンカーを打つなら、たとえばこんなふうになります。
- 1 - 「つらすぎて、早く一日が終わってほしい。」
- 3 - 「ベッドから出たくない。何もかも遮断してしまいたい。」
- 5 - 「頭のなかでぐるぐるしていて、あまりここにいない感じ。」
- 7 - 「生きている実感があって、一日を迎える準備ができている。」
- 9 - 「この一日が、ずっと続けばいいのに。」
- 10 - 「この日のことは、一生忘れないと思う。なぜなら……」
気分は一日のなかでも揺れますから、このアンカーの内側には少し余白があります。記録するたびに見返せるよう、書き出して手元に置いておくのもおすすめです。
気分のスコアを読み解く
よくできたムードトラッカーのアプリなら、スコアをかんたんに分析できます。たとえば、今月の平均を先月と比べてみる。今月のほうが高いでしょうか。だとしたら、何が変わったのでしょう。良かった体験を増やし、そうでないものを減らすことはできそうでしょうか。
「イヤー・イン・ピクセル」、つまり一年をひとマスずつ色で埋めていく記録も、長い目で気分を眺めるのに効果的です。特定の季節に幸せを感じやすいかどうかを見て、その体験をほかの時期にも持ち込めないか考えてみましょう。たとえば冬が苦手なら、その季節に家族で集まる機会を多めに計画してみる。ガーデニングが好きなら、一年じゅう楽しめる室内での園芸を取り入れてみる、というように。
まとめ
まずは、アンカリングを使って毎日の幸福度スコアを記録してみてください。この進め方なら、あなたのムードトラッキングは、より幸せな日々への道のりをいちばん力強く支えてくれます。データが増えるほど、見えてくるものも深くなります。季節や活動による傾向に目を向けて、自分を幸せにしてくれるものを、少しずつ暮らしに増やしていきましょう。幸せは道のりであり、同時に、あなたが目指すにふさわしい目標でもあります。
まだ読んでいなければ、「瞬間」を使って気分を分析する前回の記事もぜひどうぞ。次回もお会いできるのを楽しみにしています。

