心理学

心の不調は、目に見えない

2023年3月27日 公開

人は社会的な生きものです。同じ部屋にいれば、自然と互いに引き寄せられていきます。それは、困難に直面したときにはなおさらです。仕事によっては、一日に何千人もの人とすれ違うこともあるでしょう。でも、そのなかに具合の悪い人がいるとしたら、どうでしょうか。咳をしている人を見かけて「風邪かな、花粉症かな」と思うことはあります。けれど、その日すれ違った二人にひとりが、目には見えない不調を抱えていたとしたら。米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、大人の50%が人生のどこかで精神疾患の診断を受けるとされています。さらに、5人にひとりが毎年なんらかの心の不調を経験しているのです。では、その不調は本当にそこまで「見えない」のでしょうか。

心の不調は本当に見えないもの?

心の不調は、本当に目に見えないのでしょうか。答えは「はい」でもあり「いいえ」でもありますが、多くの人にとっては残念ながら「はい」です。心の病は、たいてい頭のなかで起きている出来事です。熱でも湿疹でもなく、目でわかるようなものではありません。医師の考えでは、心の不調が「病」と呼ばれるのは、それが日常生活に深く影響を及ぼし始めたときです。ですから、家庭生活や仕事、日々の楽しみが本当に損なわれていると感じるなら、それは強いサインです。頭から離れない考えや、不安、迷いが原因かもしれません。ここで自分に聞いてみてください。あなたが言わなければ、周りの誰かが気づくでしょうか。おそらく気づきません。それどころか、あなたは周りに「元気だよ」と言っているかもしれません。

どんな感じがするもの?

診断がつく前の心の不調は、さまざまなかたちで現れます。よくあるのは、悲しさ、気分の落ち込み、空っぽな感じ、そして考えごとで頭がいっぱいになる感覚です。体はその場にあるのに、頭のなかはずっと動き続けている、という状態です。それが本来の「闘うか逃げるか」の仕組みを刺激して、不自然に強いストレスにつながることもあります。でも安心してください。こうした感覚は、きちんと向き合うための手立てを取れば、しっかり元に戻すことができます。

気持ちを楽にするには

心の不調とつき合っていくための道具や工夫は、たくさんあります。そのひとつが、頭のなかの考えを外に出して、紙の上に置いてみることです。良いことも悪いことも、その日感じたことを毎日書き出してみましょう。日記をつけてみるのもいいかもしれません。気持ちを書き出すことで、その考えの力の一部(あるいは全部)を手放すことができます。頭から離れない考えは誰にでもありますが、心が健やかな人ほど、その考えをいったん脇に置いて「今ここ」に戻ってくるのが上手なのです。

ムードトラッカーをつけてみるのもいいでしょう。そのためのアプリはたくさんありますし、紙でも十分です。自分に合うスケールで一日を評価して、その気持ちにつながった出来事を短く書き添えてみてください。

もうひとつ、力になるのが「考える」より「動く」ことです。ひとつの問題をじっくり深く考えるのは良いところでもありますが、心の休まりにとっては必ずしもプラスではありません。難しい仕事は、手をつけられる小さなステップに分けてみましょう。

これを裏づける有名な研究があります。研究者は二つのグループに、絵を描いてもらいました。片方のグループには「できるだけたくさん描くこと」、もう片方には「時間はいくらかけてもいいので、自分が納得できるだけ完璧な一枚を仕上げること」と伝えます。才能や背景、運のばらつきを吸収できるよう、グループはかなり大きな規模でした。結果はどうだったか。「量」を目指したグループのほうが、作品の数が多かったのはもちろん、質まで高かったのです。ここから学べることは何でしょう。今この瞬間にいて、まず手を動かしてみること。たとえ一歩が小さく見えても、目の前の山が登れないほど高く見えても、です。

そのなかで、いちばん大切なこと

心の健康と体の健康には、ひとつ共通する大切な答えがあります。それは、助けを求めることから始まる、ということです。体の具合が悪ければ、医師に相談しますよね。心もまったく同じです。近くのカウンセラーやセラピストを探して、力を借りてください。

セルフケア

体の健康と同じように、心の健康にも、その「筋肉」を鍛えて保つための運動が必要です。心のためには、瞑想、ジャーナリング、自己内省、ムードトラッキングといった方法を試してみてください。Luciは、こうした習慣を毎日続けていくお手伝いをします。呼吸を整えるエクササイズや瞑想が用意されているほか、毎日ひとつの内省の問いに答えることで、考えるきっかけが生まれ、手を打つべき領域に気づけるようになっています。安心できるプライベートな場所に気持ちを書き出すことで、繰り返し押し寄せる考えが力を増していくのを防げる——そのことを、どうか覚えておいてください。

まとめると、心の不調は、助けを求めるまでは目に見えないことがほとんどです。悲しさによって日々の暮らしが妨げられていると感じたら、助けを求めることがいちばん大切な一歩になります。そして問題が大きくなる前に、セルフケアを習慣にしておくことも支えになります。瞑想、ムードトラッキング、ジャーナリング、自己内省といったエクササイズを、ぜひ試してみてください。

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