心のワナ

心の読みすぎ - 認知のゆがみ

2024年7月22日 公開

心の読みすぎとは、たいした手がかりもないまま、相手が何を考えているかを決めつけてしまう思考の近道のことです。情報であふれた世界を渡っていくための工夫であり、自分の気持ちを守ったり、自分の思い込みを補強したりする役割も果たしています。心の読みすぎはよくあることで、たいていは問題になりません。それどころか、役に立つこともあります。たとえば誰かがぽかんと口を開けていたら、感動しているのだろうと察することができます。ただ、この心の読みすぎには危うい副作用もあり、とくにほかの思い込みを強めてしまうことがあります。いくつか例を見ていきましょう。

よくある例

お昼を食べに出かけて、社員食堂でひとりになったところを想像してみてください。まわりではカップルが何組か、ちらりとこちらを見ています。そこであなたはこう考えはじめます。「ひとりで食べているなんて、みんなに残念な人だと思われているにちがいない。友達がいないと思われているんだ」。

あるいは、仕事に遅刻した日を想像してみてください。オフィスに入ると視線を感じ、あなたはこう考えます。「みんな、私の仕事ぶりを疑っているにちがいない。だらしなくて、いいかげんな人間だと思われている」。どちらの場合も、相手が実際に何を考えているのか——そもそもあなたのことを考えているのかどうかすら——わからないまま、自分の考えを相手に重ねてしまっているのです。

心と体への影響

心の読みすぎは、ストレスや不安の度合いに影響します。また、事実ではない思い込みにもとづいて行動してしまうことで、人づきあいへの不安につながることもあります。たとえば、道で友人とすれ違ったのに、あいさつをしてもらえなかったとしましょう。あなたは「もう嫌われてしまったんだ」と考えるかもしれません。その結果、その友人への接し方が変わってしまう。でも実際には、友人はただ考えごとをしていて、あなたが通りかかったことにまったく気づいていなかっただけかもしれないのです。

立て直しかた

うれしいことに、いくつかの問いを自分に投げかけるだけで、役に立たない心の読みすぎと、役に立つ心の読みすぎを分けることができます。

心の読みすぎに気づく

まずは、いま自分が心を読みすぎていることに気づきましょう。「相手は自分についてこう思っているはずだ」と感じていることを、書き出してみてください。次に、こんな問いに答えてみます。

  • この考えは、自分から何を奪っているだろう?
  • この考えには、何か自分にとっての利点があるだろうか?
  • この考えが本当である可能性は、どのくらいだろう?
  • 自分の考えが正しいかどうか、確かめるべきだろうか。そして確かめられるだろうか?

答えの例

その考えのコストは、ストレスや不安を生んでいることかもしれません。とはいえ、心を読みすぎることで得ているものもあります。自分の思い込みや、自信のなさを裏づけてくれるからです。ある意味であなたは破局的思考に陥っていて、自分を守るために「最悪のことが起きるはずだ」と先回りしているのです。 落ち着いて振り返ってみると、その考えはおそらく本当ではないと気づきます。まったく知らない誰かの、ほんの一瞬の視線が根拠のすべてだったのですから。そして最後に、その人に本当に何か考えていたのかを尋ねる必要はないだろう、という結論にたどり着きます。尋ねたところで、あなたの一日は何も変わらないからです。

おわりに

心の読みすぎはよくあることで、たいていはそれほど問題になりません。ただ、その決めつけが頻繁になり、心の健やかさに大きく影響しはじめたときは別です。ここで紹介した方法を使えば、心の読みすぎの影響とうまくつき合い、より健やかな心の状態を保っていけるはずです。

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