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サンクコストの誤り - 心のワナ

2026年4月22日 公開

ある研究によると、私たちは1日に平均で35,000回もの決断をしているそうです。睡眠のリズムが整っているとすれば、1時間あたり約2,200回という計算になります。幸いなことに、そのほとんどは自動的に行われています。起きたら歯を磨く、パンを一枚食べる、コーヒーを一杯楽しむ、体のために自転車で通勤する。こうした決断は、ひとつひとつを見れば、それほど大きな意味を持ちません。

けれど、なかにはもっと重く、影響の大きい決断もあります。そうした決断をするときに待ちかまえているのが、「サンクコストの誤り(埋没費用の誤謬)」と呼ばれる思考のワナです。

サンクコストの誤りとは

では、サンクコストの誤りとは何でしょう。人間は感情を持つ生きものです。私たちの決断は、けっして純粋に合理的なものではありません。だからこそ、「損をしたくない」という気持ちに引っぱられた決断を、自分でも気づかないうちにしてしまうのです。

たとえば、ある学生は「もう1年目を終えてしまったから」という理由で大学を続けることにするかもしれません。心の奥では、ここは自分の場所ではないと、もうわかっているのに。あるいは、共通の友人や思い出がたくさんあるからという理由で、ある関係を続けているかもしれません。

もっと小さな場面でも起こります。コンサートのチケットを買ったところを想像してみてください。早起きして列に並び、それなりの金額を払って、大好きなアーティストの最前列の席をついに勝ち取りました。ところが運命はいたずらをするもので、半年後、いよいよ当日というときに……体調を崩してしまいます。それでも行きますか? だって、ここまで来るのに、あれだけのものを注ぎ込んだのだから。

心と体への影響

サンクコストの誤りを避けるのは、簡単ではありません。自分の選択にどこか納得できない感じがあるとしたら、その裏でこのワナが顔を出しているのかもしれません。最近、もう幸せをもたらしてくれないものに、時間や労力を注いでいませんか。あるいは、心のなかではもう答えが出ているのに、大きな決断をするのが怖くなっていませんか。それを、内側から自分を削るものにしないでください。これまでの投資をふまえて決断してしまうのは、ごく普通のことで、誰にでもあることです。ただ、それに人生を支配させたり、自分の代わりに勝手に決めさせたりしないように。

自分で立て直すには

サンクコストの誤りは、過去の決断を、これからの決断の運転席に座らせてしまったときに起こります。 このワナの影響をやわらげるためのヒントを、いくつかご紹介します。

大きな決断をするときは、サンクコストの誤りのことを思い出してみてください。判断に影響しそうな偏りがあれば、書き出しておくのもいい方法です。そして、自分にこう問いかけてみましょう。「もし今日はじめてこの状況に来て、この決断をするとしたら、自分はどうするだろう?」

小さな選択なら、まずはぱっと決めてしまい、そのときの自分の気持ちをすぐに確かめてみてください。その決断は、ほっとする感じや、うれしい感じをもたらしてくれますか。サンクコストの誤りは、考え込む時間が長いほど強くなっていきます。

サンクコストの誤りを人生から完全に取り除くのは、ほとんど不可能です。それでも、決断をより丁寧に行うことはできます。そのすべては、この小さなひとつから始まります。 これまでの道のりで何を費やしてきたかではなく、自分がどこへ行きたいのか——自分の北極星——に目を向けること。

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