気分日記とは?
気分日記とは、自分がどう感じているかを、日付とともに定期的に残した記録です。睡眠や活動、出来事についてのメモを添えることもよくあります。カウンセラーや医師が、受診と受診のあいだにつけておくよう勧めることもあります。その場で書いた記録のほうが、診察室でここ数週間を思い出そうとするより信頼できるからです。ムードトラッカーアプリは、日付の管理と集計を代わりにしてくれる気分日記です。
例: かかりつけ医に、この1か月はどうでしたかと聞かれます。当て推量で答える代わりに、1ページの概要を開きます。記録した日は22日。短い睡眠が3晩続いたあとの2週目に気分が落ち込み、外に出た日はいつも調子がよかったことがわかります。
「ここ数週間はいかがでしたか?」これは、カウンセラーやかかりつけ医、精神科医との面談で、ほぼ必ず最初のほうに聞かれる質問です。そして、意外なほど答えにくい質問でもあります。昨日のことははっきり覚えています。本当につらかったあの1日のことも覚えています。それ以外は「まあまあだった、と思う」にぼやけてしまいます。
ムードトラッカーがあれば、もっといい答えができます。自分の気分を記録してきたなら、あなたの手元にはすでに、日付つきの数週間分の記録があります。このガイドでは、その記録がなぜ役に立つのか、何を持っていけばいいか、10分ほどでできる準備、そして記録に会話を乗っ取らせずに面談で活かす方法をご紹介します。
気分の記録を面談に持っていく理由
実は、私たちの記憶は気持ちの記録係としてはあまり優秀ではありません。気分を研究する人たちは、その瞬間の気持ちを記録してもらう方法をよく使います。生態学的瞬間評価と呼ばれる方法です。振り返って思い出す方法は当てにならないからです。その場でつけた記録と、数週間後に思い出した内容を比べた研究では、両者が食い違うことが多いとわかっています。とくに、気分がどれくらい上下したかについてです。
それはあなたの欠点ではありません。記憶とはそういうものです。最近の日や強く印象に残った瞬間が、ふつうの日を押しのけてしまいがちです。記録にはその問題がありません。そのときどう感じていたかを、より正確に残してくれます。
記録を持っていくと、具体的に3つの点で役立ちます。
- 時間の節約になる。 面談の時間は短いもの。概要があれば、思い出して組み立て直す手間を省いて、大事な話にすぐ入れます。
- 自分では口にしないかもしれないパターンが見える。 日曜日はいつも気分が沈むことや、睡眠が短い夜のあとに気分が落ちることを、わざわざ話そうとは思わないかもしれません。記録なら、自分でまだ気づいていないことでも、はっきり示してくれます。
- 言いにくいことを伝えやすくなる。 その場で言葉を探すより、ある週を指して「この週です」と言うほうが楽なこともあります。
気分の記録は、人と人との温かいやりとりを保ったまま会話を支えてくれます。専門家の助けの代わりにはならず、診断でもありません。それがあなたにとって何を意味するのかを読み解くのは、カウンセラーや医師です。
持っていくもの、置いていくもの
これまでにつけた記録をすべて渡す必要はありません。いい概要は、数分で読めるくらいの短さです。
はっきりした期間。 前回の面談からの期間が、たいていちょうどいい長さです。初めての面談なら、直近の1〜3か月分があれば、細かすぎて誰かを困らせることなく、役に立つ背景を伝えられます。
時間とともに変わる気分。 シンプルなグラフや週ごとの平均があれば、全体の流れがひと目でわかります。上向きでしょうか、下向きでしょうか、それとも横ばいでしょうか?
パターン。 つらくなりやすい曜日や時間帯。調子のいい日と、つらい日にそれぞれ何を記録していたか。睡眠や歩数を記録しているなら、それも入れておくと役に立つことがよくあります。
日付つきのメモをいくつか。 よくも悪くも目立った日。それぞれ1〜2文で十分です。
話したいこと。 出かける前に、2つか3つ書き出しておきましょう。記録は裏づけで、これはあなたの質問です。
置いていっていいもの。 あなたの日記は、あなただけのものです。書いた文章をそのまま見せるか、評価とタグだけにするかは、あなたが決めます。どちらも役に立ちます。まだ人に見せるには個人的すぎることがあれば、外しておきましょう。次の機会に持っていくこともできます。

面談前の10分
自分のデータを勉強する必要はありません。それでも、前の晩にさっと目を通しておくと役に立つことがあります。とくに、それで疑問が浮かんだときは。見ておきたいのは次のようなところです。
- 期間を選ぶ。 前回の面談から、あるいは初めてなら直近の1か月。
- 全体の様子にざっと目を通す。 前と比べて、おおむねよかったでしょうか、悪かったでしょうか、それともだいたい同じでしょうか?
- 目立った日を1日か2日選んで印をつける。 何か特別なことがあったなら、その日に起きたことをメモしておきます。
- 気分を動かしたものを見る。 Luci では、気分への影響リストに、調子のいい日とつらい日にそれぞれ何を記録していたかが表示されます。意外に感じたものを選んでおきましょう。
- 質問を2つか3つ書いておく。 「お昼を抜いた日は気分が落ちることに気づきました。取り組んでみる価値はありますか?」は、持っていくのにぴったりの質問です。
- 文章をどこまで見せるか決める。 全部か、一部か、数字だけか。
面談のことで不安になっていても、心配いりません。それはごく自然なことです。記録を続けて、予約を入れた時点で、いちばん大変なところはもう終わっています。記録を発表する必要はありません。持っていって、道しるべにするだけでいいのです。
記録の渡し方
カウンセラーや医師に、どんな形で受け取るのがいいか聞いてみましょう。書き込みのできる紙の資料を好む人もいます。来院前に読めるよう、事前に PDF で受け取りたい人もいます。あなたのスマートフォンで一緒に見るほうがいいという人もいます。
気分の記録は、配慮が必要な健康情報です。どう受け渡すかを少し考えておきましょう。クリニックの患者向けポータルや、印刷して手渡しする方法のほうが、転送したメールより安全です。迷ったら、医療機関にふだん何を使っているか聞いてみてください。
紙のトラッカーでも大丈夫です。Year in Pixels のページや、カレンダーのひと月分の写真だけでも、多くのことが伝わります。
Luci から報告書を共有する
Luci は、あなたの記録を医療従事者向けに書かれた報告書にまとめられます。報告書は誰でも無料で使え、Pro は必要ありません。報告書はあなたのスマートフォンの中で作られます。作成のために何かがアップロードされることはありません。
- Luci の設定を開き、データに進みます。
- 医療従事者向けにエクスポートをタップします。
- 対象期間を選びます。30日、90日、12か月、すべて、から選べます。
- 書いた文章も含めるかどうかを決めます。オフにすると、評価、タグ、パターンだけを共有できます。
- 報告書を作成をタップして、カウンセラーや医師の希望に合った方法で PDF を共有します。
報告書は、期間の概要から始まります。どれくらい継続して記録したか、どこでデータが少ないかもわかります。そのあとに、時間とともに変わる気分、曜日別と時間帯別のパターン、気分と一緒に記録したもの、記録していれば睡眠、歩数、天気、そしてすべての記録を日付順に並べた一覧が続きます。

報告書は、ありのままに読めるように書かれています。どのページにも、記録が本人によるものであることがはっきり書かれています。何かが気分と結びついている場合、報告書はそれを原因ではなく関連と呼びます。数値に意味を持たせるだけのデータがないときは、推測せずにそう書きます。カウンセラーや医師は、数字から何がわかり、何がわからないのかをすぐに把握できます。

メモ:概要ではなく、自分用にデータのコピーがほしいときは、同じ「データ」の項目にバックアップがあります。あなたの履歴は、いつまでもあなたのものです。
面談の場で
会話を先に進めて、記録はあとからついてくれば十分です。カウンセラーや医師は、まったく別のところから話を始めたいかもしれません。それで大丈夫です。質問に答える助けになるときに、報告書を出しましょう。
うまくいくためのポイントをいくつか。
- パターンは出発点として扱う。 「仕事の日は気分が低め」は、掘り下げてみる価値のあることで、結論ではありません。自分では考えつかなかった理由があるかもしれません。
- 背景を補う。 家族が訪ねてきていた週に気分が沈んでいたのと、何の前触れもなく沈んでいたのとでは、意味が違います。数字の裏にある事情を知っているのはあなたなので、それを話しましょう。そうすれば、本当に大事なパターンを二人で見つけやすくなります。
- 空白については正直に。 2週間記録をやめていたなら、そう伝えましょう。空白も情報のひとつです。
- 次に何を記録するといいか聞く。 カウンセラーや医師が、睡眠や特定の心配ごと、試してみることにした新しい習慣など、具体的なものを記録するよう勧めてくれるかもしれません。面談のあとで、それを Luci アプリに追加できます。
面談のあとで
これまでと同じように記録を続けましょう。少しずつ、こまめに、で十分です。何かを変えてみることにしたなら、2週間の方法を使えば、それが役に立っているかをシンプルに確かめられます。次の報告書には今回の面談からの期間が表れるので、何が動いたのかを一緒に確かめられます。
面談をきっかけに、ひとりでじっくり考えたいことが出てきたら、ジャーナリングのお題が、次の面談までにそれを言葉にする助けになります。
よくある質問
カウンセラーはムードトラッカーの記録を見たいと思うでしょうか? 歓迎する人は多く、つけるよう勧める人もいます。聞いてみるのはいつでも大丈夫です。「気分を記録しているのですが、概要を持ってきたら役に立ちますか?」
書いたことはすべて見せるべきですか? 見せてもいいと思えるものだけで大丈夫です。評価、タグ、パターンだけでも十分役に立ちます。書いた文章は、あとから見せても、ずっと見せなくてもかまいません。
報告書はどれくらい前までさかのぼればいいですか? 前回の面談からの期間が、たいていちょうどいい長さです。初めての面談なら、1〜3か月分あれば役に立つ背景になります。
アプリは必要ですか? いいえ。紙の日記や、1日ごとに色を塗るカレンダーでも大丈夫です。アプリなら、数えたりグラフを作ったりする手間が省け、日付もきちんと整理されます。
ムードトラッカーで、自分のどこが悪いのかわかりますか? いいえ。ムードトラッカーは、あなたがどう感じたかを記録し、記録したものの中にあるパターンを見せてくれます。そのパターンがあなたの健康にとって何を意味するのかは、専門家と一緒に話し合って理解していくものです。
いま、つらい時期を過ごしていて、すぐに支えが必要なら、かかりつけの医師や地域の相談窓口、または救急サービスに連絡してください。気分の記録はあとでかまいません。あなたのことがいちばん大事です。
